朝、油蝉を今年初めて捕まえたら、
羽化したての、すこし小さめの雄だった。
大桶を洗い、竈に火を入れて、大豆をゆがく。
朝6時に火をいれて午後4時くらいまで。
秘伝口伝では火はチョロチョロ、ゆっくり、温度を上げてゆく。
温度があがってもあまり火を大きくしない。
大豆を強い火でゆがくと湯の中に大豆の汁がでて、濁ってくるのが
弱い火ですると汁は澄んだままで、大豆の中の成分が溶け出さない。
この前、屋根つきの看板をくずしたのを竈の中につっこんでおいたのに
火をつけたら、あっという間に大きな火になり、グラグラグラグラ沸騰し始めた。
知っていても、なかなかそのとおりにはできないものよ。
なんやかやあっても、それでも最後はおいしいものができる、
そういうふうになってるんや。
来年への課題としては7月1日ぐらいから仕込むこと。
たぶん、もうちょっと早めがいい。
昼に製粉所にはったい粉を買いにいったら、
すみません。50円値上がりしました。と言われて5キロ買って、
世間でのいろんな話を聞いた。
今年の仕込みは
大豆 5升
はったい粉 5キロ
食塩 2キロ
伯方の塩 1キロ
にしようと思っているよ。
裏の婆さんは次の朝になっても、どこに行ったんやろう。
とカラスの仔を探していたらしけど、掃除をしていたら、
門の横の地面で裏返しになった右腕、というか羽がちぎられて
落ちていた。
なるべきようの、予想どおりの、ごく当たりまえの結果で、驚くことは、
何もない。こういう結末を迎えるであろうことはわかってたのが、
一瞬、生きて成長してほしいと願い、少しばかり心をそそいだ。
こうあってほしいという願ったものと、出てきた現実はあまりに違う。